【JFL解体論】変わり続ける勇気を

【はじめに】

わがままと言っていい勝手な思いでこの10年地域リーグ JFL界隈を見聞きし、また関連動画を製作させて頂いてきました。
10年、関係各位のご厚意に甘えて活動を続けてこられました。
それについて改めて感謝を述べさせて頂きたいと思います。

故に、以下のような論を述べることには申し訳なく、また悲しく残念ではありますが長年見てきた中での偽らざる想いでもあります。

私の意見は今JFLに所属しているクラブ、JFLを目指しているクラブを否定しているわけではありません。過去動画のJFL旗に自らのある限りの敬意をこめてきたつもりでいます。

地域決勝という大会とその先にあるJFLという舞台、それにかかわる人々を私は自分なりの方法で愛してきました。

ですが、この大会の過酷さは必ず解消されなければならず、解消された時、今の地域決勝は消えることになるでしょう。
「いつか必ずそうならなければならない」という思いを抱えての活動でもありました。

以下少し長いですが、ご一読頂けたらと思います。

【クラブ消滅の歴史と硬直的運営】

2009年 三菱水島FC退会
2011年 アルテ高崎、ジェフリザーブズ 退会
2012年 SAGAWA SHIGA FC 退会
2015年 SP京都FC退会
2016年 ファジアーノ岡山ネクスト退会


この10年に限ってですが、ほぼ2年に1チームが退会。消滅。
唯一の例外が三菱水島。
三菱水島は退会後、中国リーグへの降格を希望したが受け入れられず、県リーグへ降格。


退会理由は各クラブ様々であることは理解しています。
震災以降の不況も大きな原因だと思います。一口に語れるテーマではない。

ですが、なぜほぼ全てのクラブが消滅しなければならなかったのでしょうか?
なぜ退会するクラブがすぐ下の地域リーグに降格にならず、懲罰的な降格を強いられるのでしょうか?

チームは生き物と言いますが、私はチームにはそれぞれ生き物として命が宿っていると考えています。
JFLまで辿り着いたクラブはその企業そのクラブの力だけでなく、それを支えた関係者、サポーターの協力があったからなはずです。
クラブ退会時に、もっと弾力的な対応があれば残せたクラブもあったのではないかと残念でなりません。

Jリーグの運営については、様々批判があり私も完璧なものではないと思っています。
ですがフリューゲルの消滅以降、一貫してクラブの消滅を阻止し、守り抜こうとある意味なりふり構わぬ姿勢には共感しています。

比べてJFLクラブの存続に対する態度は酷薄であると思います。
であれば、「JFLから早く抜け出しJ昇格しなければ」と各関係者が思い発言したとしても、どうして批判が出来るでしょう。


さらに言えば、アマチュアリーグであるはずなのに、なぜ観戦無料ではいけないのでしょう?
なぜ、人工芝の使用は不可なのでしょう?
アマチュアリーグなのに監督資格にA級ライセンスは必須でしょうか?

スタジアム規格が満たしてないからといって他の町に出向いてホームゲームをしなければならない。
なぜ、町の人たちが集まりやすい いつものサッカー場でホームゲームが出来ないのでしょう?

JFLのスタジアム規格の押し付けは、Jリーグの運営のミニチュア版です。
なぜJリーグのそれは批判されながら、JFLは批判されないのでしょうか?

今回昇格を祝福された女川も当面はホームタウンでホームゲームが出来なくなります。
有料になり場所も遠くなってしまって今まで気軽に応援できていたのに、足が遠のいてしまった、という人たちも出てくるかもしれません。

このJFLの規定、運用は日本のサッカー界に幸せをもたらしてくれるものなのでしょうか?




【JFLは世界一過酷なアマチュアリーグ】

JFL昇格後の壁として その運営費の高さが話題になりますが
その高さの根本原因は移動費にあると私は考えています。

来年のJFLには青森と宮崎にそれぞれ2チームが所属することになりますが、
青森ー宮崎間の直線距離は、ロンドンーローマ間に匹敵


J3にはなりますが秋田ー沖縄間は、ベルリンーマドリード間に匹敵します。

JFLはアマチュアでありながら欧州統一リーグをやっているようなものです。

日本は交通網が発達しているとはいえ、その移動費用や疲労が欧州の半分で済むというわけではありません。


ヨーロッパの一国が地域リーグサイズだとすると、アマチュアリーグは県リーグサイズで運営されている模様です。

JFLは地域制にした方がいい?ドイツやイタリアのコミュサカ事情
”現在欧州のトップを走る、イングランド、ドイツ、スペイン、イタリアの国内リーグの構造を見てみると、ドイツでは4部リーグ以下、スペイン、イタリアでは3部リーグ以下が地域制リーグで運営されている。(中略)
こうして見てみると、イングランドを除けば日本のJFL(実質4部リーグ)にあたるリーグは、欧州トップクラスの国々でも全国単位では運営されず、国内を3から4の地域に分け運営されていることが分かる。”



その他の例として、高校世代のプレミアリーグは東西に2分割されたリーグですが、協会からの移動費負担があった上でもその運営が困難であるようです。

高校側から見るプレミアリーグの利点と改善点  流通経済大柏高校・本田裕一郎監督インタビュー
"1年目の昨年は協会負担が7割、各チームが3割になっていたが、今年はもっと厳しくなると聞いています(2012年はチーム最寄駅同士の間を算出経路対象とし、その6割を協会が支払うことになっている)。本来は協会が全額負担するべきでしょう。
 昨年はウチも400〜500万円かかったし、遠隔地の東福岡なんかは600万くらい必要だったと聞いてます。そういう数字が会議の席上でも全く上らなかったのはすごく気になった。年末のプレミア参入戦に出た大津(熊本)の平岡和徳監督なんかは「公立が(プレミアに)上がった場合は到底無理」と話していたし、実際にそういう難しさはあると思いますよ。そういう格差をなくすことから始めないといけない。"



VONDS ゼムノビッチ監督「運が足りなかった」 一問一答
"やはりリーグ戦で優勝したチームが入れ替え戦なしで上のリーグに上がる。これはどこの国でもそう。JFLはもう少しチームが増えた方がいいと思うし2つにカテゴリーを分けるなど考えた方がいい。"

ゼムノビッチ監督の母国セルビアの面積は、北海道リーグ 東北リーグほどです。
監督の言う通り優勝チームが単純に昇格するのは当たり前。
国の大きさがそもそも地域リーグサイズだからです。

ゼムノビッチ監督が地域CLを世界一過酷な大会だと言うならば、JFLは世界一過酷なアマチュアリーグと言えるでしょう。




【地域リーグは育みのリーグ】

私の意識が以上のような変化を始めたのは、三菱水島の退会決定以降の道のりを見はじめたころからです。

親会社の度重なる不祥事と経営不振。
会社トップからいつ廃部の言い渡しがあってもおかしくない状況でどうにか県リーグでの存続が決まる。

残っただけでもよかった。これからは県リーグのクラブとして細々とでも長く続いて行けばいいと思っていました。

それが、地域リーグに返り咲いただけでなく全社優勝、地域決勝に2年連続出場。
関係各位のどれだけの努力があったか計り知れません。
三菱という企業が伝統的にサッカーに理解があった背景もあるかもしれない。

ですが逆説的に地域リーグであれば、関係各位の努力の範囲内で存在が許されるということでもあります。

FC刈谷やホンダロックなど、降格を受け入れたクラブは残りました。
JFLからの退会で地域リーグへの降格が認められていれば、なくなったいくつかのクラブはまだ命脈を保てていたのでは?と想像しています。

欧州にならうのであれば、地域リーグこそ適切なリーグサイズであるかと考えます。




【解決策について】

リーグ編成や運用ルールを自由に語れるのであれば、解決策は無数にあると思いますが「アマチュアサッカー界の過酷さの根本は日程ではなく移動距離にある」という認識から出発するべきと考えます。

さらに掘り下げて言えば、「全国区でなければ価値がない」「一地方の田舎だけでは」「上京して一旗あげる」といった中央思考こそがこの問題の根深い元凶なのです。

私個人としては以上をふまえ、J1含む すべてのリーグが地域リーグでよいと考えています。そしてそれぞれのカテゴリーで地域決勝をやればよい。

J1地域決勝、J2地域決勝、J3地域決勝、JFL地域決勝、地域決勝

DAZNのお金もいつまで続くかは分かりません。
開催要項のよく分からない前期後期のチャンピオンシップなんかより、ずっと盛り上がるとは思いませんか?

欧州にならえと言うならば秋春制などのシーズンを合わせるより、よほど有意義だと思います。各地域リーグが開幕日程を決められるなら秋春制すら可能かもしれない。

欧州№1はUCLで決められるのです。
なら日本一はJCLで決定されてもよいのではありませんか?




【今そこから踏み出せる一歩】

上記の意見はすぐさま実現する考えではありません。
落とし所としては JFLの東西分割あたりになるかと思いますが それも当面は難しいでしょう。

しかし、今現時点で上記のような体制になることは 意識を変えさえすれば実現可能な状況であることにお気づきでしょう。

来年の関東リーグは 浦安、ウーヴァが降格し地獄とか魔境とか言われているようですが、私から見れば天国に近い環境だと思います。

なぜなら、J3に匹敵するような人気クラブが複数在籍する価値あるリーグなのですから。
そのままでJ3よりも盛り上がってしまえばいいのです。

関東リーグだけでなく、関西リーグも動画配信や今回地域CLの写真配信など運営レベルは非常に高い。

有明放送局さんはDAZNをそん色ない視聴環境を提供して頂き、たいへんありがたかった。ぜひ東北リーグの盛り上がりにも一役かって欲しいと願います。

ようは9地域の各リーグがJFLに昇格しようがしまいがJ3以上に盛り上がってしまえばいいのです。

無料試合では価値がないとの意見もあるかもしれませんが、地元のお祭りや花火大会は有料でしょうか?
地元のお祭りは有料イベントに比べて無価値でしょうか?

各地域がそれぞれに盛り上がり、最終的に地域決勝が高校野球の甲子園に匹敵するアマチュアサッカー界のビッグイベントになれば、私のねらいは達成されたも同様なのです。




【最後に】

自分で言ってて極論だと思います。
私は地域リーグ原理主義者 地域決勝原理主義者だからかもしれません。


旧JFL、JSLは黎明期の日本サッカーを支え続けてきた母なるリーグです。
それを無くしてしまえなど簡単に言ってしまえることではないと私も思っています。

ですが、各地域の都合や各選手の都合より中央の都合が優先され、リーグの維持のために各クラブがすり潰されるように消えていく現状には異を唱える必要がある。

クラブのために選手を犠牲にすることが許されないように
リーグのためにクラブが犠牲になることを許していいはずがない。


そのために、地域リーグというステージが関係者にとって誇りとなれるよう、微力ながら活動を続けていくつもりでいます。
関係各位にとって来年がよい年になりますようお祈りします。
また、いつもの季節にお会いできますことを!


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